保証契約について
法律契約が無効になることも
連帯保証契約とは,主債務者(本来の債務者)とともに支払義務を負担する旨の契約であり,連帯保証人は,主債務者が借金等の返済ができない場合に請求をされることになります。債権者としては,この契約を締結する際には気をつけなければならないことがあります。不注意な契約を取り交わした場合には,後日無効となる場合があります。民法改正により大きく変更された部分になりますので,十分に注意した方がよいと思います。以下では特に注意すべき点についてお伝えします。
注意すべき点
まずは,契約を書面で交わすこと。口頭で連帯保証することを誓約してもらっても,その契約は無効です。この規制は民法改正前からのものになります。
次に,個人による根保証の場合には限度額を定める必要があり,この限度額の定めがない場合には,その契約も無効となります。根保証というのは,不特定の複数の債務を保証する場合です。たとえば,ある取引先から生じる不特定の債務を保証したり,賃借人の家賃等を保証する場合等です。保証人が個人である場合には,その限度額(上限額)を明記する必要があります。この限度額を設定していない場合には,契約自体が無効となります。
さらに,事業のために融資を受ける場合に,その貸金返還債務について個人の連帯保証人をつける場合には,事前に保証の意思を確認すべく公正証書(保証意思宣明公正証書)の作成が必要になります。この公正証書は保証契約とは別途必要になりますのでご注意ください。保証意思宣明公正証書が作成されていない場合には,保証契約を締結しても無効となります。ただし,保証人が会社の代表取締役である等の一定の場合には,保証意思宣明公正証書の作成は不要となります。
加えて,事業に関する債務について,個人に保証人になってもらう場合には,その主債務者は保証人に対して,財産及び収支の状況,主債務者が主債務以外に負担している債務の有無,その債務がある場合にはその額と履行状況,主債務者が主債務の担保として他に提供し又は提供しようとするものがあるときは,その旨及びその内容を説明することになっています。主債務者からこの情報提供がなされないまま,又は不実の情報提供がなされて保証契約が締結された場合において,情報の提供をしなかったこと又は不実の情報を提供したことによって保証人が誤解をし,その誤解に基づいて保証契約を締結し,債権者が主債務者により情報が提供されていないこと又は不実の情報提供がなされたことを知り又は知ることができた場合には,保証人はその保証契約を取り消すことができてしまうのです。
安易な契約をしない
以上のとおり,保証契約については民法改正により大幅に変更されており,無効となるリスクが高くなりました。保証契約は保証人が締結する際には十分注意すべきことは社会的にも認知されているかと思いますが,今後は債権者側も十分に注意すべきことになります。保証契約を締結して安心したかと思っていたら,実はそれは無効だったということになりかねません。