フリーランス法 │ 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律 |恵比寿明治通り法律事務所

フリーランス法 │ 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律

※ この記事は令和7年6月21日時点のものです。

2024年11月1日に、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)が施行されました。
このフリーランス法は、業務委託がなされる際、委託側も受託側も知っておくべき法律になります。
フリーランス法は業務委託で働くフリーランスを守る法律であり、取引の適正化と就業環境の整備を目的としたものです。

1 取引の適正化について

取引の適正化については、下請法ではカバーされなかった事業者も保護されます。
下請法では、資本金規模と取引内容によりその適用範囲が定められていましたが、本法では、資本金規模は問わず、業務委託の内容も限定がありません。

ただし、受注側は、以下のいずれかの適用対象の事業者(特定業務受託事業者)である必要があります。

  • 適用対象1 個人であり、かつ従業員を使用していない受託側の事業者
    ※ 従業員は、週20時間以上の所定労働時間であり、かつ31日以上の雇用期間が見込まれている者が該当します。
    逆にいえば、受託側の事業者個人において、この要件に当たらない従業員を雇用していたとしても、フリーランス法が適用されます。
  • 適用対象2 法人であり、代表者以外の役員がおらず、かつ従業員を使用していない受託側の事業者
    ※ 従業員の定義は適用対象1と同様

受託側が上記の特定業務受託事業者である場合には、委託側には次の規制の適用を検討しなければなりません。
① 書面等による取引条件の明示
② 報酬の支払いに関するもの
③ 報酬の減額等の7項目の禁止行為

このうち、①はいかなる委託事業者にも適用される規制となります。そのため、発注する側もフリーランスである場合も適用されます。

②については、次の特定業務委託事業者に適用があります。

  • 個人であり、かつ従業員を使用するもの 又は
  • 法人であり2人以上の役員がおり又は従業員を使用するものがこれに当たります。
    ※ 従業員の定義は特定業務受託事業者と同じ。

③については、委託側が特定業務委託事業者であり、かつ業務委託が政令で定める期間(令和7年6月21日時点では1か月間)以上に及ぶ場合に適用されます。
契約の更新をして1か月以上となる場合も含むので注意が必要です。

 

2 就業環境の整備

就業環境の整備については、特定委託事業者のみに適用され、以下の規制が適用されます。

① 募集情報の的確な表示
② 妊娠・出産・育児・介護に対する配慮
③ ハラスメントに対する講ずべき措置等
④ 中途解約等の事前予告

 

3 規制に違反した場合

上記の規制に違反した場合には、受託側のフリーランスの申出により、行政機関により調査(報告徴収・立入検査)がなされ、調査に従わない、妨害した等の事情があれば罰則が科される可能性があります。
そして、この調査を踏まえて、行政機関から委託事業者に対して指導・助言・勧告がなされる可能性があります。
正当な理由なく勧告に従わない場合には、命令が下され、かつ命令が下された旨の公表がなされる可能性があり、命令に従わない場合にも罰則が科される可能性があります。

以 上

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